

















「一葉のきもの」
近藤富枝・森まゆみ共著
河出書房新社/1,680円
貧しいながら、
着物を愛し、
工夫し、
和裁を生業とした、
明治の佳人、
樋口一葉にちなむ“着物”語。


ここでちょっと、旧表示指定成分の歴史についておさらいしておきたいと思います。
旧厚生省が、薬事法を大幅改定して表示指定成分の指定に踏み切ったのは、1977年の『黒皮病裁判』がそのきっかけでした。化粧品に含まれるタール色素によって顔にシミができた患者18名が、大手化粧品メーカー7社に総額1億7,700万円の損害賠償を求めた裁判です。結論から言って、メーカー側が5,000万円の和解金を支払うことで裁判は決着しました。
これを受けて、旧厚生省は1980年9月、アレルギー症状を引き起こす可能性のある成分を、“表示指定成分”と名付けて指定し、商品に明確に表示することをメーカー側に求めたのです。安全上問題のある成分の表示が義務付けられたため、消費者は有害物質が使用されているかどうかをひと目で判断できるようになりました。
ところが、厚生労働省は2001年4月から、すべての成分の表示を義務付ける“全成分表示”を打ち出しました。これによって、確かに私たちが手にすることのできる情報は増えましたが、一般的な消費者からは、「成分ばっかりいっぱい書かれるようになって、何がなんだかわからなくなった」という声があがっています。
厚生労働省の方針は良くも悪くも一貫しています。それは、「何が入ってるかを表示することだけはともかく徹底させたのだから、あとは消費者個人個人の自己責任において判断してくれ」ということです。自己責任を果たすためには、的確な情報を収集し、何が危険で何が大丈夫なのかを見極めなければなりませんが、これがなかなかムツカシイのです。
なぜなら、実は旧表示指定成分以外にも、安全上問題のある成分はたくさんあるからです。化粧品に使われている成分だけに限っても、すべてをリストアップするとその種類は約3,000種に及びますが、そのすべてについて有害かどうかの結論が出ているわけではないのです。
なかでも特に注目されているのが、環境ホルモン(内分泌かく乱物質)ですが、どの合成化学物質が環境ホルモンとして働くのかについては、まだ解明されるに至っていません。
さらに厄介なことに、環境ホルモンというのは摂取してすぐに影響があらわれるものではなく、おもに人間の生殖器官に蓄積して子孫に伝えられていきます。そのため、何10年、何100年経たないと、その有害性を計り知ることができないのです。
環境ホルモンの登場による最悪のシナリオは、人類の滅亡です。でも、本当にそうなるかどうかはわかりません。真実がわかる日まで、私たちは絶望することも希望を持つこともできない、あやふやな時間を過ごすことになります。
ココ・ボーテグループでは、書籍・関係機関の資料・インターネット等による情報の収集と、ボランティア・モニターの方々のご協力によるパッチテストによって、有害性の疑われる成分を徹底的に排除しています。
化学物質の有害性をめぐって、私たちがとても驚くのは、パッチテストによってほぼ明らかに異常が認められる成分であるにもかかわらず、業界のパンフレットやサイトでは“無害です”“安全です”“大丈夫です”と堂々と書かれている化学物質が、予想以上に多いということです。
ココ・ボーテグループのサロンにいらっしゃるお客様の多くは、お肌の悩みを抱えていらっしゃったお客様です。そのお客様のほぼ100パーセントの方が、口を揃えてこうおっしゃいます。「化粧品に有害物質が入ってるなんて、ちっとも知らなかったわ」――はっきり言って、それは固定観念以外の何物でもないのですけど、化粧品がお肌に悪いなんていうことは思ってもみなかったわけです。
でも、それは、私たちココ・ボーテグループのスタッフ全員が、昔は同じように思っていたことなのです。まさか化粧品がお肌の悩みの原因だったなんて、逆立ちしたってわからなかったのです。有害物質の入っていない化粧品を使ってみることで、そうなんだということが生まれてはじめてわかったのです。だからこそ、お肌について悩んでいるたくさんの女性たちに、そのことをお知らせしたいと思っているのです。
女性や一部の男性にとって、“美容”というのは、ライフスタイルと切り離すことのできない、きわめて重要なファクターとなっています。しかし、化粧品のメリットばかりを強調して、デメリットについてはひた隠しにする、ほとんど詐欺といえるような商法が、美容業界では古くから横行していて、その起源は遠くエジプト文明の時代にまでさかのぼります。なんと旧約聖書の一節には、エジプト人の美容ブームを「まったく無駄なことである」と批判する文章が載っているほどです。
人類史最大の化粧品公害の元凶となったのは、オシロイでした。ギリシア時代から製造されるようになった鉛白(塩基性炭酸塩)製のオシロイ、中世の錬金術師によって作られた昇汞(塩化水銀)製のオシロイは、いずれも実に見事に顔を白く見せてくれましたが、長く使っていると顔のツヤがなくなり、毛髪が白くなってお婆さんのようになってしまうのです。また、汗で流れて口に入ったりすると、死んでしまうこともある怖いものでした。
驚いたことに、鉛白製のオシロイは20世紀初頭まで、2,000年以上にわたって使われ続けていたのです。日本では明治時代になってから輸入されるようになりましたが、不幸中の幸いというべきか、当時の歌舞伎界の大スターだった九代目市川團十郎と中村福助が、鉛白製オシロイのせいで瀕死の重傷に陥ったというニュースが日本中を駆け巡ったため、被害者はごく少数にとどまりました。
日本に限らず、世界中のどこの国でも、鉛白製オシロイの被害をいちばん多く受けたのは俳優でした。顔に塗っただけならまだしも、俳優というのは熱演すると汗がダラダラ出てきます。すると、その汗といっしょに流れ出したオシロイの毒性成分が、目や口や鼻の中に入ってしまうわけです。旧表示指定成分の中にも、肌に塗っただけではそんなに毒性はないけれど、口・鼻・目などから体内に入り込んだ途端に、怖い毒性を発揮する成分が数多くあります。
これは、女性に限らず、日本人のほとんどが反省すべき点だと思うのですが、不利益になりそうなことは見なかったことにする「見ぬもの清し」の精神が、脈々と伝えられてきています。江戸時代や第二次世界大戦前後の弾圧や混乱があった時代には、生き延びるための知恵としてそういう精神も必要だったのかもしれません。
しかし、現代はそういった不自由な時代ではありません。消費者の権利がつねに優先される時代です。美容業界が次々と打ち出すイメージ戦略に乗っかったままでは、本当の意味での“美”を手に入れることはできません。
もちろん、ココ・ボーテグループも1企業ですから、ボランティアでみなさんを啓蒙して歩いているわけではありません。その代わり、少しでもみなさんの不利益を生じさせないように、『5つのお約束』をかたくなに守って営業しています。
もし、みなさんが、ふだんのお肌のお手入れについて、不安や不満を少しでも感じていらっしゃるのなら、愛用されている化粧品に旧表示指定成分が使われているかどうかを、1度は確かめてみていただきたいと思います。
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